ワイン日記・・・⑨モエ・エ・シャンドン / ホワイトスター

 先日、さる顔見知りの方が、僕がこんなしょうもないblogを書いている事を知って、そんなに絵が好きならばとアール・ヌーヴォーのデザイン画集を下さいました。その本はかつて出版社をなさっていたご友人のところで出された物だそうで、後にそのご友人は鬼籍に入られ、会社も今は無く絶版となっている貴重な本なのだとか。そんな大切な本、僕なんかが持っても宝の持ち腐れになってしまうだけだと思い、一度はご辞退申し上げたのですが、気にせずにと仰って頂いたので有り難く頂戴することにしました。


 こんな感じのミュシャ様式の綺麗な画が何点も載せられています。
 これには何かお礼をしなくては・・・。

 そこで、アール・ヌーヴォー→ミュシャ様式→アルフォンス・ミュシャと、至ってベタな連想からこの広告ポスターを思い出したのです。

 モエ・シャンドンのシャンパーニュ、ホワイト・スターの商業ポスター。
 2005年3月、東京都美術館で観たミュシャ展にも展示してあった、100年前(1899)の作品です。紅葉した葡萄の葉を背中にして、たわわに実った葡萄の房を手に、ロゼ・ピンクに染め抜かれたドレスで優しく微笑む女性は収穫の女神なのかな?。



モエ・エ・シャンドン・ホワイトスター (N/V)セック

 丁度、肩肘張らずにLe Chaponで食事でもご一緒しましょうと云う話になり、それならばその日には是非これを、と考えて用意しました。僕自身も展覧会の図録で眺める内、このホワイト・スターを飲んでみたいなぁと兼ねてから思っていたので、丁度良い機会です。勿論、ささやかなお礼の気持ちはちゃんと持っていたのですが、単に自分が飲みたかっただけじゃん、と突っ込まれると返す言葉も有りません・・・(^^ゞ。

 何はともあれ、ポスターのミュシャ美人に思いを馳せながら乾杯。

 モエのブリュット・アンペリアルは僕にとって一番馴染みの多かったシャンパンです。グラスでシャンパンが用意されている場所で供されているのは、やっぱりブリュット・アンペリアルが多いですよね。でもセックのホワイト・スターは多分初めて。中口からやや甘口と云うことですが、思っていたほどは甘くなかったですね。と云うか、甘いと思って買うと「?」って感じかも・・・。

 ついでですが、アンペリアルの方もミュシャはポスターを描いているのですが、ミュシャ・ファンの僕にとってはホワイト・スターに描かれている女性の方が魅力的でポイント高かったりします(^^;。

 そうそう、アンペリアルのポスターには“CHAMPAGNE”と記されず“GRAND CREMANT”となっているところが、なかなかに興味深いトコです。どうしてだったんだろ?。


 以下はこの日のアテ。


 良い鱈の白子が入ってるよ、と云うので貰ってみました。表面は芳ばしく焼かれて中はふわふわトロトロ。バルサミコのソースで。コンディションにも依るでしょうが、この日の白子には臭みが全く無く、味わいが軽いのでシャンパンとの相性は悪くありませんでした。


 焼いたパテ・ド・カンパーニュ。
 別段口頭で焼いて、とお願いしたワケではないのですが、パテを注文した時に、変わり映えしないけど(=定番と云う意味で)・・・などと憎まれ口をきいた所為でしょうか(?)、厨房がイタズラをして、何故か焼かれてしまったようです(笑)。

 でもこれが意外とクセになる味。火が通ると、肉に混ぜられているレバーの旨味がじんわりと滲み出てきます。次回も焼いて貰おうかな、って思っちゃう。


 ここからは赤ワインも同時進行。


テヌータ・コル・ドルチャ・オルマイア 2000

 ブルネロ生産者のコル・ドルチャが造るカベルネ・ソービニョン100%のスーパー・タスカン。
このワイン、と~っても香りが好い!。もう軽く匂いを嗅いだだけでカベルネだよ~、美味しいよ~ってワインに語り掛けられてるみたいな気分になります。ベリー系の果実とスパイシーな風味のフルボディ。ただ、若い所為だったからでしょうか?、飲み口、やや余韻が物足りないような気もしました。香りの素晴らしさからすると、ちょっぴり淋しいかも・・・。ただ同席者からは、しっかりしてるけど諄くないからかえって飲みやすいと云う意見も有りました。人の好みは皆それぞれですね(^^;。


 1年振りの味、モン・ドール。久々なのでこの匂いはかなり効いてました(笑)。相変わらずの日本の漬け物のような香り。ダメな人は絶対ダメでしょうねぇ~。僕は好きだけど・・・。

※昨年の過去記事→(http://blog.so-net.ne.jp/ilsale-diary/2005-12-03-1


 さて、くさいチーズの後に、更に強烈な匂いを放つこの物体↓。

 ふふふふふ。
 どうしたって顔がにやけてしまいます。今期初めての白トリュフ!!。
 
 こいつもかなりくさいですよね~。持って逃げてもすぐバレる?(笑)。

 破産しない程度に削って貰ってます(苦笑)。

 この日はリゾットで頂きました。もっともっと!とO氏を脅迫したので、かなりなサービス盛りとなっております。こう云う時、同じ店に通い詰めてると、たまには好いコト有るよね~と至福の実感。
#普段からいつもいつもサービスしてるでしょ!、と反論の声が聞こえてきそうですが(^^ゞ。

 次回はタリアテッレにしようっと(笑)。

この記事へのコメント

  • TaekoLovesParis

    まぁ~なんてイイお話。甘美な世界。
    アールヌーボーのデザイン画集の表紙、ひとつひとつの文字に凝って
    いておしゃれですね。
    この画集をいただいて、ミュシャのモエのポスターを思い出し、ホワイトスターにこだわったお礼をなさる、yk2さんのセンスと知性が伺えて
    すてきです。
    ミュシャ展でのこのポスター絵、よく覚えているけど、、「モエはずいぶん昔からあるのね」、と思っただけで、1年半後にこんなにシャンパンに興味をもつとは思ってもみなかったですね。。だから、この絵のミューズもヴァイオリンを持っているのかと思ったら、ぶどうだったというほど
    でした。今なら、そんなまちがえしなぁい。

    焼いたパテ、へぇ~、、です。じゅわっと脂がしみておいしいでしょうね。
    ソーセージの焼いたのみたいかなって想像中。

    モンドール、そんなに強烈なら避けたいです(笑)
    白トリュフ、サービスよくかなり厚めですね!私が食べたのは、お好み焼きにのってる花がつおと同じ。吹けば飛ぶようなメラメラでしたもの。

    やっぱりお料理はフレンチが一番。最近は仕事が忙しくて、サンドイッチと果物ばかりなので、ちゃんとしたお料理、うらやましいなぁ。。。
    2006年12月14日 00:39
  • julliez

    こんばんは
    じゃあ、年末に帰国した時にyk2さんのエスコートでシャンパンの夕べをしますか?
    と書いて思い出しましたがtaeko さん、フランスにいらっしゃるんですよね。
    入れ違い・・・。

    ところでホワイトスターのポスターは非常に有名で今私が宿題で読まされているシャンパンの歴史のガイド本(一応バイブル)にもカラーで載っています。
    セックは本来辛口(に近いほうの若干甘口)なんですけど多分日本人には甘く感じる範囲みたいで甘口表記されるようです。
    フランスではこれは立派な辛口扱いです。
    (だからyk2さんの感覚はきっと正解です。)

    モエの甘口(ネクターアンペリアル)は私の周りではかつて無いほど評判悪かったみたいですがこちらは大丈夫のようで何よりでした^^。
    2006年12月14日 04:03
  • TaekoLovesParis

    <年末に帰国した時にyk2さんのエスコートでシャンパンの夕べ>
    → 賛成!!!
    私、パリに行くのは、今年はお正月になってからなので、年末大丈夫
    ですけど~。
    2006年12月14日 09:22
  • yk2

    taekoさん、甘美なのは絵だけですってば・・・(苦笑)。

    モエはやっぱり歴史が古いですよね。
    以前、クリスチャン・コンスタンの話の時に「炎のランナー」にモエがばっちり出てくる、って話したでしょう?。あのパリのオリンピックだって1924年大会ですもん。

    >この絵のミューズもヴァイオリンを持っているのかと思った

    taekoさんがそう思うのも無理無いくらいに、首と顎の角度といい、ネックを持っているかの様な左手といい、弓を地に向けまっすぐ下ろしている様な右手も含めて、云われてみれば確かにそう見えますね~。

    焼いたパテはね、ソーセージみたいに結着剤(=塩)が無いから、プリプリしてない分、ほろり柔らかです。味も濃くなるから、ちょっとイメージ違うかなぁ。熟成の進んだモン・ドールはとろり美味しいけど、漬け物が嫌いだ!な~んて云ってるtaekoさんにはきついかも知れませんね。熱が入ると今度は更にクサヤみたいだから(笑)。

    トリュフはね、続編アリです(^^ゞ。
    2006年12月14日 22:56
  • yk2

    julliezさん、こんばんは。

    あのお~、僕がエスコートするんですか~?。だって役回り的には生徒でしょ~~~(笑)。>クチでは敵いそうもないのでビビリ気味だったりして(^^;。

    まぁ、年末だから供出せよ!と云われれば、現在ルネ・ジョリィは4種全て在庫しておりますが(^^v。

    ホワイト・スターのポスター、やっぱり有名なんですね。シャンパンの歴史本って、読んでみたいけど専門書で高いのかな?。先日フランスの宮廷を描いた絵の話で、出来たばかりのシャンパンと牡蠣を一緒に、って画題の作品があって、というのをTVでやっていたので気になっていたのです。シャンパンの歴史に興味津々。

    >こちらは大丈夫のようで何よりでした^^。

    あのね、本文には書かなかったけど、正直云っちゃうとあんまり・・・・・でした。飲み進む内に、ステンレスのスプーンを舌の上に乗せたような金属的な味が強く口に残るような鈍重な気分になってしまったのですよ。僕はあんまり良い印象じゃ・・・・・・。
    #ああ、これご一緒した方に読まれたらどうしよう・・・苦笑。

    ネクター・アンペリアルもそんななんですね・・・。興味減衰しました。飲もうと思ってたのに・・・(苦笑)。
    2006年12月14日 23:26
  • plot

    ミュシャ、特に好きな画家という訳ではないけれど、つくづく上手いなと思いますね。20世紀美術をアマチュアリズムの時代とすれば最後のプロフェッショナルという感じ。
    オルマイア、2000年でまだ若い?カベルネ・ソービニョンってそういうもの?
    普段飲んでるのはせいぜい2003年くらいまでなので(例の97年のキアンティは別にして)、今度古いの探してみます。(Yo)
    2006年12月15日 05:06
  • yk2

    洋一さん、こんばんは。
    語学学校お忙しそうですね。久々の学生気分、満喫してらっしゃいますか?。楽しそうでいいなぁ~(羨ましい)。

    ミュシャはですね、僕もさして好きでもなかったんです。展覧会も気晴らしのつもりで行ったんですよ。だけどアメリカ滞在時やプラハに戻った頃の油彩なんかを観たら、ガラリと持ってたイメージ変わっちゃいまして。
    #ただ単に綺麗な女性画に弱いってウワサもありますが・・・(^^;。

    オルマイアの2000年は、お店で一押しで薦めてくれたので購入したのですが、サンジョヴェーゼを愛する洋一さんには、あまりにアフターがスパッと切れる(=なくなっちゃう)タイプなので、僕より更にダメかも知れないです(^^;。

    でね、オルマイアの半分ちょっとの値段で飲める新進気鋭のサンジョヴェーゼ発見しました。火曜に飲んだばかりなのですが、テヌータ・ベルグァルドのポッジオ・ブロンゾーネ2004(Tenuta Belguardo / Poggio Bronzone Morellino di Scansano)。こちらは余韻が長くて美味しい~!!!です。下手なブルネロ負かしちゃってますよ。
    2006年12月15日 23:26
  • yk2

    DSilberlingさん、ご訪問&niceありがとうございます。
    2006年12月18日 01:27
  • シェリー

    こんにちは~
    ポスターとっても素敵☆というか・・・部屋に飾りたいです(><)
    実は・・・初めて拝見しましたのです・・・(汗)
    ホワイトスター&ネクターは、多分日本ではまだ正規輸入になってなかったんじゃなかったでしたっけ?結構希少なボトルですよね。
    ネーミングなんかにも魅かれて、飲んでみたいなぁ~と思いつつ、実はどちらも飲んだことありませんのです・・・(汗)
    ホワイトスターはすっきりキラキラな泡だち系。ネクターは桃風味なのかなぁ・・・と勝手に(安易に)想像しておりました。

    あんまり・・・なんですね(笑)

    焼いたパテって。。。家で焼いても美味しいでしょうか。年末やってみようかな?
    2006年12月18日 18:19
  • yk2

    昨晩はメンテナンスと知らずにシェリーさんへの返事を書いていて、いざアップしたらAM01:05。無情にも書いたコメントはきれいさっぱり消されてしまいました(泣)。

    ところでこのポスター、シェリーさん、欲しいでしょ(笑)?。
    でもね、ミュシャのリトグラフはインチキなまがい物が法外な値段で売られているような悪徳業者が関わるケースもあるようなのでくれぐれもご用心召されませ。

    ホワイト・スターは僕はピンと来ませんでしたが、それはあくまでその日の僕の個人的な感想。ダメなヤツと決めつけないで!(笑)。シャンパンは僕より遙かに沢山シェリーさんは飲んでらっしゃるんだから、味わってみれば、また違った感想を持たれるかも知れません。

    パテはもしたくさん作っちゃったor買い過ぎちゃった、で終盤飽きちゃったら、焼きパテ、チャレンジして見て下さい。
    2006年12月19日 12:40
  • c-d-m

    何故なら偉大(エラそう)な泡だから・・・。
    と、ブレンドマスターが言っていたのを聞いた記憶がありますが
    それが本当かどうかは彼はモエのブレンドマスターではないので断言できません(笑)
    どちらにせよ、シャンパーニュは土地の名前と飲み物の名前の両方を意味するので、飲み物の方を意図的に指しているのではと推測です。
    (鵜呑みにしないで下さい)
    ちなみに我々はネクターアンペリアルをグラン・ムスーと呼んでいます。
    カクテルが好きな方にイチゴを浮かべてどうぞ・・・。
    2006年12月21日 03:33
  • yk2

    cdmせんせ :
    何故なら偉大(エラそう)な泡だからですか、って、まんまじゃないですかー(笑)。でもホワイト・スターの女性像と違ってアンペリアルの方はちょっと描かれている女性も確かに少し偉そうで女王様風。モエのプライドってトコでしょうか。

    ネクター・アンペリアルにはイチゴを浮かべて・・・、は女性向けできらびやかで良いですね。でも僕には絶対似合わないので止めておこう(苦笑)。
    2006年12月22日 01:11
  • シェリー

    yk2さん、メリークリスマスです。

    実は、今年、ちょっと大人なクリスマスCDをがほしいな~と探していて
    yk2さんがサイドバーで紹介されてる
    Diana Krallさんのを購入してみたんです~
    Jazzの詳しいことは解らないけど・・・思ってた以上にうっとりムードで聴き心地最高でした~

    よいもの教えていただいてありがとうございます~
    2006年12月25日 13:28
  • yk2

    シェリーさん、メリー・クリスマスです~。

    ダイアナ・クラール、お気に召したようで何よりです。
    ジャジーな大人クリスマス・アルバムには、どんなシャンパーニュを合わせて楽しまれたのでしょう?。うっとりムードって仰るくらいだから、きっと素敵なイヴだったのでしょうね(^^。
    2006年12月25日 22:44
  • c-d-m

    yk2さん、Bonne Annee!

    2006年は素晴らしい出会いを有難うございました。
    引き続き、2007年も芽吹いたばかりの若い葡萄樹をゆっくり大切に育てて行きたいですね。

    本年もどうぞ宜しくお願いします。
    2007年01月01日 02:46
  • yk2

    cdmせんせ、こちらこそ素晴らしい出会いに感謝しております。
    葡萄組友の会会員(勝手に作りました・・・^^ゞ)として、肩肘張らずにワインを楽しむ人の輪を無理せず、ちょっとずつでも広げていけたらいいな、と思ってます。その為にも、是非とも司教さまにナマ法話をお聞かせ願いたく、今年はそれが実現すればいいな~と願っております。法話のお礼にはお布施としておなかい~っぱい、ゆるゆるのプッチン・プリンを(笑)。
    2007年01月01日 23:22
  • aia

    画集うらやましいです。
    つい先日、モノプリのお酒コーナーで、アール・ヌーヴォー調の絵がボトルに描いてあるシャンパンを見つけました(メーカーは失念)。87ユーロ。買うかどうか、迷ってます。
    2007年01月10日 03:53
  • yk2

    aiaさん、ご訪問ありがとうございます。
    小さくてよく判らないけど、アイコンはカリエールでしょうか?。

    アール・ヌーヴォー調の絵のボトルと云えば、エミール・ガレがボトル・デザインを手掛けたペリエ・ジュエが有名ですね。残念ながら僕は飲んだことがありませんが・・・(^^;、それのことかな?。ユーロが高い昨今、87ユーロのシャンパンは現地でも贅沢品ですよね。飲んだら、どんなだったか教えて下さいね。
    2007年01月10日 23:52

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