今回はもうかれこれ2ヶ月近くも前に飲んだシャンパーニュのお話です。なんで今さらそんな古いハナシ~?と僕も思うのですが、これ、その日一緒に飲んだチーム・
まったくもう、いつもこんな具合なのでこちらはまるで敵いません(^^;。
集合は珍しく金曜日の夜。僕が少し遅れてからお店に到着すると、先に着いたスカーレットとこれまたチーム
◆シャンパーニュ・クシュ ドサージュ・ゼロ / Couche_DZero
おや、これは僕がまだ飲んだことの無かったクシュのドサージュ・ゼロではないですか。飲んでみたかったんだ~、これ。
ドサージュ・ゼロとは、所謂「門出のリキュール」を添加しない超辛口。一歩間違えると、ひたすら酸っぱいだけのシャンパーニュになってしまいそうな代物ですが、このキュヴェにはそんなキツさは一切なし。果実のうま味はスタンダード・ブリュット同様にたっぷりで、補糖していないのですから確かに全く甘くはありませんが、云われなければ特にノンドゼだとは思わないかも。湿気の多い日本の蒸し暑い夏には特に、このスッキリとした爽快感のある味わいは広く喜ばれそうな気がします。とは云え、僕はやっぱりスタンダードが好きかなぁ~。だって本当に美味しいシャンパンなんですもん(^^。
そもそもこのクシュと云う銘柄は、黒留(=clos-du-meix)せんせが今は消してしまわれた旧blogで紹介されておられたシャンパーニュ・メゾンで、2006年度の『アペリティフの日』(※6月にここ数年ずっと六本木ヒルズで開催されている、フランスの食とワインを紹介する人気イヴェント)に来日してブース出展しますから、ぜひ遊びに行って味を試してみて下さいと、ご案内下さったもの。それまでの僕は、シャンパンなんてせいぜいモエとクリコ、ポメリーくらいしか知らなかったのに、これを境にレコルタン・マニピュランなんて言葉を覚え、クシュやルネ・ジョリィなどの個性的な味わいにハマって、もれなくシャンパン・ラヴァーと成るべく、すっかり誘導、洗脳(笑)されてしまったワケなのです。
そしてその年末、初めてスカーレットとTねーさんと会うことになった日のテーブルにも、このクシュのシャンパーニュが有りました。しかも、それはクシュの若き当主ヴァンサンくん自らがラベルを貼ってスカーレットに手渡ししてくれた物だったのですが、ロゼの入ったボトルに間違えてスタンダード・ブリュットのラベルを貼ってしまったものだから、彼女もグラスに注いでみて初めて中身がロゼだと気が付いて、一同吃驚&爆笑のおまけ付き(^^。そんなこんなで、僕にとってはいろいろと思い出のあるシャンパーニュの1つなのです。
◆参照過去記事→
・Happy Aperitif in Tokyo 2006 : http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2006-06-08
・葡萄組初会合 : http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2006-12-30)
◆Paul Dethune Brut Rose NV
そして2本目。これが“すっごく美味しい!”とウワサのロゼ。
僕が撮った写真がピンボケだったので、これは別の機会に撮られたものを借りた写真なのですが、見ての通りのサーモン・ピンク。ボトルが透明ってコトは、この綺麗な色を見て!ってことなんですよね。実際グラスに注いでみても、とても淡い、美しい色合いをしています。
こちらの銘柄であるポール・デテュンヌはグラン・クリュ格付けの村、アンボネイに畑を持つレコルタン・マニピュラン。ヴーヴ・クリコの上級銘柄であるグランダムに原酒を提供していることで知られる作り手さん。やはりスカーレットが昨年末にスタンダードを持って来てくれたことがあったので1度飲んでいるのですが、かなりしっかりとした味の飲み応え。かと云って、決して鈍重なのではなく、厚みはあるけれど繊細さも併せ持つ芳醇なシャンパーニュでした。だけど、3人で飲んでて4本目に栓を抜いた分だったんですよねぇ(^^;。終盤にではなく、もっと舌が麻痺していない早いウチに飲まなきゃ、その複雑な味わいの真価は判らなかったかも・・・。
そんな経緯があったので、今回のロゼはじっくり味わってみようと思っていたのですが、こちらはその色合い同様とても繊細なものでした。赤い果実の爽やかな酸味。そう、まるで佐藤錦のような高級なサクランボの果実その物の味がします。なるほど、これは美味しい。ただ、あまりに繊細な味わいなので、シャンパン単独で楽しむ以外の余地が考えられない、他の食べ物と一緒に味わう事を一切拒絶しているかの様な気がしてしまうのです。
「これは、合わせる食べ物に困っちゃう味だね。レストラン泣かせ?」と僕が訊けば、「そうなんですよね~。較べたとしたら、ガストロノミック的にはセルジュ・マチューのロゼの方が重宝されるんですよ。デチュンヌみたいなロゼ・シャンパンはムリに何かと合わせず、それだけで味わうのが間違いないですね」とスカーレット。そうだよねぇ、もし1粒で数百円もする佐藤錦が口の中に入っていたとしたら、その味を純粋に楽しむのが当然のこと。同時に他の物を口に入れたいとは考えないものね~。
ところで、この繊細さの理由はピノ・ノワールがメインのスタンダード(ピノノワール70+シャルドネ30%)と違って、ロゼはきっとシャルドネの比率が多くブレンドされているからなんだろうなぁ・・・と僕は短絡的に考えてしまったのですが、実際はピノ・ノワール80+シャルドネ20%と、ロゼの方が10%ピノの比重が多いのです。ええ~っ、それって本当?(吃驚)。だって、ブリュットの味の厚みはピノの味の濃さなんじゃないの?。
なんだか信じられなくって、キツネにつままれた心地(^^;。そうなると、デテュンヌにはピノ100%のブラン・ド・ノワールもあるみたいだから、今度はそれを飲んでみたくなって来ちゃうね。
この日は、いつものLe Chaponに過去、食べたことのない珍しい食材が入っていたのでそれを貰ってみました。
オンブル・シュバリエと云うアルプス地方に生息するイワナの仲間です。今やフランスでも手に入りにくい食材で、川魚の王と呼ばれ珍重されている食材なんですって。お店としてもいつも仕入れられる食材じゃないので、上手くタイミングが合わないと、食べたいと思ってもなかなか口に入らない貴重なものなんだとか。
オススメに従って、シンプルなムニエルに調理してもらいました。調理前の姿と見比べちゃうと、“なれの果て”みたいでちょっと可哀想?(^^;。
◆MEO CAMUZET Hautes-Cotes de Nuits Clos Saint-Philibert 2004
これに合わせたのは、メオ・カミュゼのオート・コート・ド・ニュイ・ブラン2004。アンリ・ジャイエの関連銘柄として人気のメオ・カミュゼですが、僕は大好きなユベール・ラミーのお師匠さま格の生産者として着目。赤は結構イイ値段するけど、白はこのオート・コート・ド・ニュイとブルゴーニュ・ブランしかなく、値段も手頃なのです。初めて飲んだけど、白のクセに強かったなぁ~。アフターが長い!。ラミーのサントーバンも赤ワインみたいな白って云われてましたけど、これはそれに輪を掛けてどっしりと重い。樽も結構効いてます。
これをバターの風味たっぷりのオンブル・シュバリエのムニエルと合わせたら、あら不思議。口の中にアーモンドのナッティな風味が広がります。思わず、シェフに「このムニエルって、アーモンドで風味付けてる?」と訊いてしまったくらいに皮が香ばしく感じる様になったのです。すっごく美味しい!。
実はメオ・カミュゼは別の日に飲もうと持って来ていたワインで、本当はこの日開けるつもりじゃなかったのです。でも、「絶対合うと思いますから、今日飲んじゃいましょうよ~。」とスカーレットが云うので栓を抜いてみたのですが、さすがはワインの専門家。その通りになりました。ワインと白身魚のムニエル双方が互いに引き立てあって、本当に美味しかったなぁ。
◆Agnes et Sebastien Paquet Auxey Duresses Blanc Patience No.1(2006)
こちらはいつぞや黒留せんせが現代的なブルゴーニュの作り手として、機会が有ったら飲んでごらんと課題に出されていたアニエス・パケのオークセイ・デュレス・ブラン。この紫色のエチケットが貼られたボトルは通常の物より4ヶ月間さらに樽熟成させた実験的なキュヴェで、この2006年が初仕込み(だから“No.1”ってナンバリングされてるのですね)。
同じく2006年の通常のオークセイ・デュレスも飲んでみたけれど、パケのワインは女性的できれい。いかにもなシャルドネのミネラルが云々と云うよりも、甘い花の香りがするような優しくスマートな味わいが印象的なワインでした。
で、このニュメロ・アンはと云えば・・・、正直に云ってしまうと、同時に飲み比べないと違いがよく分からない・・・(苦笑)。説明書き通りなら、当然樽香が足されているハズで、云われてみればなんとなくそんなふうな気もするんだけど(^^;。味を再確認するために、もう1回このワインを飲んでみたい、買っておきたいと思い探してみたところ、同じ2006年はもう手に入りにくい状況になっているみたいで、現在の店頭では既に2007年物(No.2)に切り替わっている模様。
この日もどっかの誰かさんが体調的に赤は飲めませんと云うので、結局最後まで“白”通し。よってメインの肉料理もバスク豚のモリーユ茸ソースにしてみました。これはこれで美味しかったし、夏だから白ばかりでも悪くないでしょう?って云うけどさ、やっぱり1本くらいは赤が飲みたいぞ~(うがうが)。
この記事へのコメント
TaekoLovesParis
って、お相伴に預かる私は、「いったいいつになったら、、」と少々、気を
もんでいたんですよ。
覚えてるつもりでも、一週間経つと何飲んだのか忘れてしまう。(^^;
だから記録係くん、おっとまちがい、記録係さまの存在はありがたいです。
クシュのドサージュ・ゼロはきりっとして好きだったので、このあと、自分用に
買いました。
デテュンヌのロゼは、香りもよく、さくらんぼ+αの果物味で、おいしかったですね。
写真でわかったけど、フランスワインガイド本の「ギイド アシェット」2009年に選ばれていたんですね。
そういえば、このときはアスパラの季節。
アルプスの渓谷の岩魚の新鮮さ!
写真がきれいに撮れているから、おいしさをすぐ思い出します。
pistacci
(・・ではなかったようですね。)
楽しそうですね~。おいしそうですね~。
少しワインのことを覚えようとおもって、読みましたが、やっぱり、覚えられません。楽しく飲みながらこそ、覚えていくのでしょうね。
ちなみに、メモしていらっしゃるの?チーム・エレガントの書記?
(と、全然関係ないところで共通点を見出したのでした・笑)
yk2
◆taekoねーさん :
そ。やっと宿題提出です。我ながら、なが~~~くかかりましたね(苦笑)。
ドサージュ・ゼロ、ご自分用に買っちゃいましたか。僕はシャンパンにはやっぱり門出のリキュールは入ってて欲しいかなぁ。この季節にはキンキンの辛口もいいですけど。デテュンヌのロゼ、僕は自分でもう1回飲み直そうと思ってます。クシュのロゼを初めて飲んだ時にも思ったんですが、飲み口が好いからサラッと飲んじゃって、微妙な部分が今思うと解ってないのかなぁ、って気がして来ちゃって。何てったって、このメンバーだと会話が忙しいから(^^;。
オンブル・シュバリエもさらっと食べちゃいましたが、好い程度の物は相当手に入りにくい食材だったみたいですね~。また食べる機会、有るかなぁ。
◆cdmせんせ :
せんせはスカート履いてまでチーム・エレガントに参加なさりたいんですね~。でも、優雅に美しいバラには鋭いトゲもあれば、可憐なスズランは怖ろしい猛毒も持っている、デスよ(笑)。
僕は特に分析好き、ってワケではありません。blogに書く気が初めから無ければ、その場の会話の方に集中してて、ただ単に「おいしいね~」ってだけで終わっちゃってますから(^^;。
◆pistaさん :
すみません、こんな内輪ネタにコメントして頂いて~。当事者の記録以外の何者でもないですよね(苦笑)。でも僕はエレガント・チームの一員ではないのですよ。エレガント・チームがそう呼ばれるためには、もうお一方、別の人が参加されるとそう云うチームになるのです。僕が参加してるのは、1人1本、の会(笑)。
書記と云えばpistaさんと同じですから聞こえは好いですが、taekoねーさんにはそれもサンチョ・パンサの仕事の1つだと思ってるんでしょ、まったく。お相手がマリー・アントワネットとスカーレット・オハラなので、僕もなかなか大変なんですよ(苦笑)。
Inatimy
ムニエルだけど、バターに浸かってるくらいコテコテなんですね。
赤だったら、もっとワイルドなお料理になるのかなぁ~。
aranjues
3人でシャンパン2本あけて白も2本?。
私だったらシャンパンだけで記憶が危ういかも。
たぶん宿題提出出来ずに廊下に立たされそうです(^_^;)。
オンブル・シュバリエ、、美味しそうですね~~。
夏の白にぴったり合いそう。
yk2
実は、云われるまでバターに浸ってる、って感覚がまるで無かったです(^^ゞ。
これは焦がしバターでアロゼしながら焼き上げる調理法だったでしょうから、確かにこうして見るとバターがたっぷりですね~。毎日食べたらメタボは確実かも(笑)。
で、載せた写真だと判りにくいかも知れませんが、このアルプスから飛行機に乗って来たイワナくんは焼く前のサイズが50cmくらいと結構大きいサイズで、ムニエルの写真は大皿に盛ったところ。これを取り分けて貰ってみんなで食べているワケですが、各人のお皿ではこのバターはソースとしてかけられていたので、こんなにもヒタヒタの状態ではなかったのですよ(^^。
このたっぷりの焦がしバターで調理する方法は、オンブル・シュバリエの調理法としては昔から一番にオーソドックスなものなんですって。アルプスだから、バターは新鮮な物がたくさん有りますものね。身の細かい肉質で、とてもサッパリした白身なので、コクのあるバター・ソース(ここのお店のバターはブルターニュ産でとっても美味しいの!)はとても相性が良かったですよ。逆に、バターをケチると、物足りないのかも。ちなみに最近の僕はサーロインが脂っぽすぎて150gも食べ切れないくらいなので、元より脂っぽいものが大好き!ってワケじゃないからね~(^^;。
yk2
この日は、ソネ・ブロとは全く関係のない飛び入りの方が1名いらして、実際は計4名だったのです。これ、ベルサイユ宮方面からきちんと誤解を解く様にと厳命されました(笑)。“一人1本の会”と云うネーミングはまだあまり恥ずかしくないようなのですが、“一人1本以上”となると途端に大きな心理変化が起きるみたいですね、対外的に(爆)。
宿題はねぇ、なかなか厳しいんですよ~。どうやら冒頭の書き出しが嫌われて(^^;、今回は赤点らしいです~♪。コメントはおろか、niceさえ付けてくれないんですから(笑)。
hatsu
ひと粒で数百円の佐藤錦だったら。。。
確かに、純粋にその味を楽しみたいですょね^^
c-d-m
すんません。
エレガントなご婦人を相手に悪戦苦闘が伝わります^^
しかしながら私は決してスカーレット君(ぎみ)の上司とかボスではありえませんので誤解のないようこちらにコメントしておきますね(また消えなければいいけど)
スカーレット嬢は年齢こそ後輩ではあれど尊敬すべき私の同志で仲間です。^^
皆さんが私がボスと見なされるのは彼女がとりあえず立ててくれているからにすぎませんが。
まぁ日本にいるときくらい緊張感を開放してここに描かれているような暴君キャラでも私には微笑ましくもあり、・・・時に猛烈に大変でもあり。
つまり棘も毒も私は大好物なんですよ。
ちなみに先日のロゼの屈辱(!)のせいで帰国早々私はピュールブリュットとミレジメ二本立てに朝まで付き合わされました。お陰様で時差ぼけも瞬時に解消で心地よくヘトヘトです。
老婆心ながらそのとき感じた一言をここに述べる事をお許しください。
遅れてやってくる友達の為に先に開けて飲んだワインを少なくともイッパイ分でも残しておく事は友人に対するマナーなのです。
必ず来るのがわかっている友人に最後のイッパイを残さず、かつ飲み干さず目の前にワインの入ったグラスを置いているというのは、実は「あなたのことなど気にしていない=お呼びじゃない」というような意味になり相手をとても傷付けます。
もちろん他意がないのは我々十分に分かっていますからご心配には及びませんし文句でも抗議でもありませんよ。
頭で分かっていても体験すると結構ショッキングなんですよ。
だから今度から遅れん坊が現れる前に、先に飲んだワインは跡形も無く片付けてしまってください。
私としてはやっぱり美味しいワインはささやかづつでもみんなで分け合いたいような気がします。
yk2
コメントいただき、ありがとうございます。
とても清澄できれいな味のシャンパンに思えましたので、僕には何か合わせる物がまるで浮かばなかったのでそんなふうに書きましたが、これまでワインを飲んでいて初めての経験でした。
yk2
すみません、僕のせいで深夜にそんなご迷惑をお掛けしてしまったのですね。
大変申し訳ございませんでした。
1つだけ言い訳をさせて頂きますと、いつも通りの楽しい言葉の遣り取りで、事前にボタンの掛け違いが生じてしまっていた分けなのですが、ここにお書き下さった「屈辱」と云う言葉の重さを考えると、とても無神経な事をしてしまったのだと、胸を痛めています。
バニラ
次の記事のMusseもなかなかですよね!
ご友人を援護するわけではないのですが、
実はわたしも最初 こちらのレストランになかなかたどりつけなかった一人です♪
外からじゃないと入れないないから、美術館の中にあると頭から思っていたので
みつけるまで手こずりました。
yk2
え~っ、T's Musee、バニラさんも辿り着けなかったんですかぁ~?(笑)。
それはお店もちょっと考えなくてはいけないかもしれないですね。意外と店構えが目立ってないってコトですものね。例えばBunkamuraのドゥマゴがよくやっているように、美術館の企画と連動したメニューを出すとかして、来場者に認知度を上げなくてはいけないかもしれませんね。 実は、結構雰囲気がおとなしいお店だなぁとは感じたんですよ。店内も窓は大きいんだけど、見えるのは比較的地味なオブジェだけだったりするし、ねぇ~。もう少しきらびやかなムードがあってもいいのかも。